ガンマ線:ベースラインシフト補正

使用しているフォトマルは陰極接地タイプですので、カップリングコンデンサによるベースラインシフトが起きます。その影響は30keV付近の特性X線のスペクトルの位置や形状に影響を与えます。ガンマ線が強くなると特性X線のピークチャンネルは小さく、スペクトル上では左に移動していき、測定限界以下になるとピークがなくなります。

この問題を解決するのに、今回はデジタル的な補正を行いました。ベースラインシフトの大きさはフォトマルに流れる電流に比例しますので、フォトマルに流れる電流を見積もります。その方法として、プロセッサでガンマ線パルスが観測される度にチャンネル番号を加算していきます。一定時間毎の合計はフォトマルに流れる電流に比例すると考えられますので、その合計に応じてチャンネル番号を補正します。

この方法により、線量率が10uSv/h程度以下であれば問題ないレベルまで補正ができました。それ以上の強度になると特性X線のピークのカウント数が減少し、最後はなくなってしまいます。