30keV以下のパルスを精度良く検出するには回路のノイズを出来るだけ少なくする必要があります。ノイズ対策として、積分回路のオペアンプ出力をオシロで観測すると20mV程度のホワイトノイズが観測されました。回路を見ても発生源が分らなかったので、片っ端から部品を交換し、関連する部品を全部交換してもノイズが無くなりませんでした。それで再度回路を見ていて気が付いたのは積分回路に入っている1MΩの抵抗でした。
この抵抗は、雑音や非常に弱い光パルスによりコンデンサが充電された電荷を放電させるもので、この抵抗が無いとすぐに出力が飽和して機能しなくなります。一方、この抵抗は光パルスの積分電圧を時間と共に下げますので、AD変換を行っている間は影響が無いような値にする必要があります。そのため、1MΩの値にしていました。
この抵抗が大きすぎるのではないかと思い、100kΩにしてみました。そうしたところ、今まで出ていたノイズが嘘のようになくなりました。
何故、ノイズが出なくなったか原因を探るため、積分回路の交流特性を調べました。その結果が次のグラフです。ゲインは70dB以上もあります。これだけのゲインがあるとホワイトノイズが出力に現れても不思議でもありません。
また抵抗を100kΩにした場合は次のグラフになります。ゲインはマイナスになりました。100kΩにしてノイズが減ったのは、積分回路のアンプとしてのゲインがマイナスになったためでした。
100kΩにするとAD変換中の電圧降下が心配ですが、オシロで見たところ殆ど影響はなく、スペクトルでも影響は確認できませんでした。